介護保険タクシーを過大評価している方は多い

介護保険タクシーについては、「やってみたい」とか「すぐにでもやりたい!」といったご相談を受けることが多くありますが、その多くの方が勘違いをされていて、思いのほか参入へのハードルが意外と高く最終的には諦められる方も少なくありません。

事業を始めるに当たって大きな夢を持つことはとっても大事なことだと思いますが、この夢を叶えるためには綿密な計画や制度を知ることも大切です。

過大な期待だけを持って、開業してから後悔と借金だけが残ったのでは、なんか開業サポートを担っている事務所としては心苦しいので、勘違いされている点や実態など色々と細かなことをご説明致します。

介護保険タクシーの定義とは

介護保険タクシーについての定義、う~ん、難しいですね。

一般的には、介護保険が使える介護タクシーと理解をされている方が多いのではないでしょうか。しかし、厳密には介護保険が使える介護タクシーなど存在しません。

えっ!?と思われましたか?

そう思われた方はこの時点にて勘違いをされている方でしょう。

こうなるとそもそも介護保険タクシーって何なのよって話ですよね。

介護保険タクシーを噛み砕いて表現するならば、介護保険が使えるサービスと連動した運行ができる介護タクシーとでも言えば正しいでしょうか。介護保険が使えるのではなく、介護保険と関連しているだけなのです。

訪問介護事業所あっての介護保険タクシー

介護タクシーは管轄する運輸局(関東で言えば関東運輸局)より許可を受けて営業することができるようになりますが、この許可を受けただけでは介護保険と何ら関連はありません。

しかしながら、介護保険法上の訪問介護事業所や障害者総合支援法上の居宅サービス事業所としての指定を受けた会社さんにおいては、別途、算定の手続きを取り、これが認められることにより一定の範囲において運送行為(タクシー)との連携が認められるようになります。

この運送行為(タクシー)との連携が認められることにより訪問介護と一体となった運行が可能となり、結果、「介護運賃」の適用が認められることになります。

かなり大雑把で端折りまくってますが、ここまでの手続きが全て滞りなく進むことができれば、いわゆる介護保険タクシーとしての営業を開始することができるのです。

介護保険タクシーは開業までの要件がとても厳しい

要は介護タクシー許可とは別に訪問介護事業所等の指定が必要となるわけで、介護タクシー許可を受けるための要件をクリアしただけでは介護保険タクシーは成り立ちません。訪問介護事業所等の要件も満たさなくてはならないのです。

訪問介護事業所においての要件をご覧になられて介護保険タクシーを諦められる方々の大きな要件がいくつかあります。ピックアップするのであれば、法人格が必要であること、最低人員があること(目安として3名を常時雇用)、介護事業所としての監査対応が必要なこと、介護保険請求などの知識が必要であることなどが挙げられるかと思います。

勿論、要件はこれだけではありません。

昨今の介護保険の不正請求等々もあってか、日々の管理体制についても大きく問われています。介護タクシーを運営する上での日々の帳簿付け等も慣れなくてはなかなか楽なものではないのに、更には不慣れな介護事業についての管理も完璧にこなさなくてはなりません。

どうでしょう?介護保険タクシーで開業するぞと意気込んでこのサイトをご覧になられている方もおられるかたもしれませんが、思った以上にハードル高くないですか?

あんまり深くを考えずに開業サポートや○○協会などの言われるがままに進めてしまうと後で結構な落とし穴が待っているわけです。

勿論、介護保険タクシーを求める声も大きい

何やらネガティブな内容ばかりでここまで来てしまいましたが、今までの開業サポートの実例なども踏まえて、安易な気持ちで介護保険タクシーの開業をすると大変なことになりますよということがお伝えしたいだけ。別に開業しちゃだめよなんて言うつもりは全くを持ってございません。

むしろ介護タクシーの開業サポートをしている我々としては、多くの方に参入していただき、移動手段にお困りの方々の手となり足となって活躍していただきたいと思いますし、何よりも介護タクシーというサービスはとても身近なサービスであるにも関わらず、イマイチ知名度が低い業界でもありますから、思いっきり業界を盛り上げていただきたいという気持ちもあります。

実際のところ、超高齢社会への突入が確実な現在の日本においては益々の需要が見込める業界でもあります。高齢者の事故が多発してますから、自主返納者や自主返納を促す自治体なども増えておりますしね。

せっかくの良いサービスですから、計画が甘いが故に、すぐに撤退なんてことにならないよう、マイナスの部分を色々と知っておくのも良いのではないでしょうか。

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